2019年5月、ジュビリーエース(JUBILEE ACE)がグランドオープン。ACE President (エースプレジデント)と呼ばれる9名のインフルエンサーやセミナー主催者が、東京、千葉、沖縄を中心に活動を始め、その後は名古屋や大阪、岡山、愛媛、福岡など全国に広がる。AQUAシステムと呼ばれる主力定量汎用アービトラージにより、投資家から投資資金を集め配当という形で月利10%以上という高配当を実現したとされるが、資金量と市場規模を考えると運用は不可能と思われる。入出金には仮想通貨を利用、運用益とは別に紹介者には紹介料が入るMLM(Multi-level marketing:連鎖販売取引)のシステムを導入。元本ロック制のため当初は順調だったが、次第に出金遅延が生じるようになり、2020年9月にシステムのメンテナンスを理由に完全に出金停止。
2020年7月、新サービス「ジェンコ(Jenco)」が公開。ジュビリーエースが出金停止となる2か月前のことで、同時期に独自仮想通貨アクアナイトも披露される。ジェンコは商品相場によるアービトラージとされていて、最低100万円あるいは4倍ローンで30万円からスタートできた。3か月後の2020年10月に、出金停止となる。
2020年12月、ジュビリーエース、ジェンコの出金停止が続くなか、新サービス「GTR(GOBALYTICS TECH RESEARCH)」がスタート。別会社とされるが、運営やセミナー主催者は同じである。プロジェクトキーを購入し、FXの運用による配当を得るというもので、2021年6月に一般向けとしてグランドオープンしたものの、その2か月後の8月には出金停止。
なお、ジュビリーエースとジェンコの取引ブローカーであるRCM(Regal Core Markets)はもともと実体がなく、金融ライセンスは剥奪、2021年4月には金融庁と関東財務局が無登録業者として警告を発するような会社であった。GTRの取引ブローカーであるArenaTrade(アリーナトレード)に関しては、運営者、住所とも一切不明。
被害者数万人、被害総額1,000億円と言われている。
以下、2021年10月12日 産経新聞に掲載(引用元:ソース)
〈独自〉金融マルチ本格捜査へ 警視庁 出資金トラブル15億円か
2021/10/12 06:00
暗号資産(仮想通貨)の売買益を通じ高配当が得られるとする金融関連商品「ジュビリーエース」などをめぐり、配当や出資金の出金が停止されるトラブルが生じていることが11日、関係者への取材で分かった。トラブルを訴えているのは少なくとも350人で総額は15億円に上るという。勧誘活動をしていた50代の男らが無許可で出資を募っていた疑いがあり、被害相談を受けた警視庁は金融商品取引法違反(無登録営業)などの疑いで、近く本格捜査に乗り出す方針を固めた。
関係者によると、出資トラブルになっているのはジュビリーエースのほか「ジェンコ」「グローバリティクス・テック・リサーチ」という計3つの商品。外国為替取引と同様に、仮想通貨の価格差を利用し売買を行うことで利益を生み出すなどとして、高利回りをうたっている。
専用のサイトを通じて仮想通貨を購入し、残高などに応じて配当が支払われる仕組みもある。3つの商品はいずれも海外に運営会社があるとしている。
運営者側が令和元年5月ごろからセミナーやビデオ会議アプリで「必ずもうかる」「月利10%」などと勧誘し、全国で出資者を募っていたという。
紹介した人がサイトに登録したり、収益を上げたりしても、勧誘者が配当を得られる「マルチ商法」的なシステムで、中には数千万円を出資した人も確認されているが、1年ほど前から出金が滞るトラブルが生じていた。
出金停止の理由について、運営者側は「システムのメンテナンスや国外との仮想通貨での送金のやり取りが難しくなった」などとしている。
警視庁も商品トラブルを把握しており、セミナーで講師として勧誘活動をしていた50代の男の関係先を家宅捜索したほか、関係者らから任意で事情聴取するなど捜査に着手。その結果、金商法に抵触する可能性があるとして、近く本格捜査に乗り出し、これらの商品をめぐる取引の実態解明を進める方針を固めた。